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2025年05月15日

子どもの好奇心を、大人が“子どもの目の高さ”で理解するために

「どうして空は青いの?」「なんで雨は降るの?」「これ、なんで動くの?」子どもの頭の中はいつだって“?”がいっぱい。お子さんの繰り返す「なんで?」「これは何?」の質問に困ってしまった親御さんも多いのではないでしょうか?そのひとつひとつにどんなふうに向き合うかで、心の育ち方は大きく変わってきます。

 でも大人の私たちはつい「自分の常識」で答えようとしたり、時間に追われて「後にして」と言ってしまったり。そんなときに大切にしたいのが「子どもの立場で理解する」ことです。

 子どもが“なぜ?”と感じるのは、世界を拡げようとする大切なサイン。好奇心の芽を、やさしく見守り、育てていくために親ができること、心がけたいことを6つご紹介します。

1.「なぜ?」を否定せず、宝物として受けとめる

 子どもの「どうして?」は、心の成長の入り口。けれど大人から見ると、すぐに答えられないことだったり、何度も同じことを聞かれたりして、つい「さっきも言ったでしょ」「そんなのどうでもいいでしょ」と流してしまう事も。でも、その“どうでもよさそうな疑問”に子どもなりの発見の芽があります。

 大人の「そんなの、当たり前じゃない」という感覚は子どもにまだ存在しません。だからこそすべてが不思議で、新鮮で知りたくなるのです。まずは「いいね、なんでそう思ったの?」「面白いところに気がついたね」と受けとめてあげましょう。

 身近な大人が肯定して共感してあげることで、子供は「自分の気づきは大切にしていいんだ」と感じることができます。

2.目線を合わせる——物理的にも心の中でも

 子どもが何かに夢中になっているとき、大人はつい上から「なにしてるの?」と声をかけてしまいがち。でもその視線の高さの違いが、実は“心の距離”につながってしまうこともあります。

 まずはしゃがんで同じ高さで一緒に見てみる。それだけで子どもの世界はぐっと近くなります。子どもが感じている「すごい!」「おもしろい!」という驚きを一緒に体感することで子供との信頼を深めることができます。

3.大人の「正解」に押し込めない

 子どもが描いた空がピンク色でも、恐竜が空を飛んでいても、その世界はその子だけの大切な世界です。そこで「違うよ」と否定するのではなく、「すてきな発想だね」「面白いね」と受けとめてあげることが大切です。

 大人の目線では“間違い”に見えても、子どもにとっては探求や表現の真っ最中。好奇心は、正しさを押しつけられることでしぼんでしまいます。枠に囚われずに自由に想像し、自由に考えることを繰り返すことで、自分の頭で考える楽しさを知っていきます。

4.「時間がかかること」を許容する

 子どもの時間感覚はゆっくりです。何度も同じことを繰り返し遠回りしながら学びます。大人の感覚では「早くして」と言いたくなるようなことでも、子どもにとっては必要な“寄り道”なのです。

 たとえば帰り道にしゃがみこんでアリをじっと観察したり、水たまりでジャンプを繰り返したり。好奇心が動く瞬間は、たとえば石ころ一つに何十分も集中したりします。一見“ムダ”に見える時間は、子どもの心を育てる栄養です。「まだ見てたいの?」「もう行こうよ」と急かす代わりに、「どんなことが気になるの?」と聞いてみる。そのやりとりがお子さんの内側の世界を広げていきます。

5.自分の中の「子ども心」を思い出す

私たち大人も、小さい頃“なんで?”が止まらなかった時期がありました。あの頃の「知りたい」「触ってみたい」「確かめたい」という気持ちを童心に返って少し思い出してみませんか?お子さんと一緒に空を見上げたり、虫を観察したりする中で、「そういえば私もこんなこと好きだったな」と気づくことがあるかもしれません。

 子どもと同じ“目の高さ”に立ち共感するためには、大人の自分をしばし忘れて小さかった頃の「遊び心」や「探究心」を少し解放することも大切です。

6.言葉にして伝える・聞き出す

 子どもは、感じたことをうまく言葉にできないことがあります。だからこそ大人が「それおもしろかったの?」「不思議だと思ったの?」と子どもの気持ちに名前をつけてあげることが大切です。ただ「何がしたいの?」と聞くのではなく、「どうしてそれに興味をもったのかな?」と深掘りしていくことで、子ども自身も「そうか、自分はこう感じてたんだ」と気づくことができます。

お子さんの心の中の冒険を、言葉にして分かち合うことは深い信頼関係の芽となり、お子さん自身の自分の気持ちを大切にする力にも繋がります。

おわりに

子どもの好奇心は「知りたい」だけではなく、「感じたい」「関わりたい」という心から生まれます。大人がその気持ちに丁寧に寄り添い、受けとめていくことで「世界は安心して冒険していい場所だ」と感じるようになるのです。

 それは学力や知識だけでは育めないお子さんの心の土台を育てる大切な時間です。忙しい日々の中でもほんの少し立ち止まって、お子さんの「なんで?」に耳を傾けてみませんか?

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