子育てやお花、花育、お花の効果などに
関するコラムをお届けします。
子どもと一緒に散歩をしていると、「このお花の名前は何?」と聞かれることはありませんか?プランターに植えられたお花の名前はプレートを見ればわかるけど、お散歩途中や公園で咲いている野花の名前を図鑑片手に子供達と調べるのも楽しい日常です。
そんな中、親世代が小さい頃にはよく見かけていたけれど、今ではなかなか見ることができなくなった草花もあります。その背景には気候の変化や土地の開発、外来種の存在が原因とも言われています。絶滅が心配される草花たち。今回は、そんな植物のことを親子で一緒に考えてみませんか
INDEX
日本には、環境省が「絶滅危惧種」に指定している草花がたくさんあります。
その中でも、身近なものをいくつかご紹介します。
かつては田んぼのあぜ道や湿地を鮮やかに彩っていた「サクラソウ」。その名の通り、小さな桜のような愛らしい花を咲かせる日本の春の風物詩です。淡いピンクから濃い紅色まで、華やかに群生する姿は、まるで春の絨毯のよう。しかし、近年は開発や環境の変化により自生地が減少し、限られた場所でしか見ることができなくなっています。
サクラソウは古くから日本人に愛され、多くの和歌や俳句にも詠まれてきた植物です。江戸時代には観賞用としても人気が高まり、品種改良によってさまざまな園芸品種が作られました。その愛らしい姿と優しい色合いは、昔も今も人々の心を和ませてくれます。
かつては関東地方を中心に、田んぼの周りや川辺などで普通に見られましたが、都市開発や農地の改変により自生地は激減。今では天然のサクラソウを見ることができる場所は限られており、埼玉県の「田島ヶ原サクラソウ自生地」など、一部の地域では保護活動が行われています。絶滅危惧種として指定される地域も増えており、私たちがこの美しい花を未来に残すためには、自然環境の保全が欠かせません。
タンポポが絶滅危惧種と言われてもなかなかピンとこないかもしれません。しかし、今公園で見かけるタンポポのほとんどは「西洋タンポポ」と言われています。ニホンタンポポは、かつては日本の各地で見られる身近な花でしたが、外来種のタンポポ(西洋タンポポ)の進出によって、交雑が進んでいます。これにより純粋なニホンタンポポの数が減少し、その存在が危ぶまれるようになりました。さらに、都市化や農地の開発により、ニホンタンポポの生育地も減ってきているのです。
ニホンタンポポは風に乗って種を飛ばすことで広がりますが、外来種との競争や環境の変化により、その繁殖が難しくなっています。特に、都市部では見かける機会が少なく、自然の中で咲くニホンタンポポを目にすることが次第に少なくなってきました。
ニホンタンポポを守るためには、外来種の管理や生息地の保護が不可欠です。私たちができることは、無駄に採取したり、開発で自然を削ったりせず、ニホンタンポポの生息環境を守ること。未来の春にもこの美しい花が咲き誇るために、自然環境を大切にすることが求められます。
山の斜面や草原に凛と咲く、華やかな白い花。夏の訪れとともに甘く濃厚な香りを放つ「ヤマユリ(山百合)」は、日本を代表するユリのひとつです。ヤマユリの最大の特徴は、その圧倒的な存在感。直径15~25cmにもなる大輪の花は、白地に鮮やかな黄色い筋と紅色の斑点が入り、まるで絵画のような美しさを誇ります。また、夕方から夜にかけて香りが強まるため、遠くからでもその芳香に気づくほどです。
かつては山間部で普通に見られたヤマユリですが、現在は開発や盗掘によりその数が減少。一部地域では絶滅危惧種にも指定されています。自生のヤマユリを見かけたら、そっと見守り、その美しさを次の世代にも残していきたいものです。
桔梗は、秋の風物詩として日本の風景に溶け込んできた美しい花です。その清楚で紫色の花が秋の陽光の下で揺れる姿は、多くの人々に親しまれています。しかし、近年では桔梗の数が減少し、一部の地域では絶滅危惧種に指定されていることをご存知でしょうか。
桔梗が減少した原因の一つは、農地開発や土地の転用です。これにより桔梗が自生していた草原や湿地が消失し、育つ場所が限られてきました。また、商業的な目的で過度な採取されることも、桔梗の減少に影響を与えています。特に桔梗の花は切り花として人気が高く、花屋や園芸業者による商業採取によって自然の状態で見ることが難しくなってきました。
また、桔梗はその生育に特定の環境が必要なため、気候変動や環境の変化もその生育に影響を与えています。湿地の減少や温暖化による影響で、桔梗が育つ場所が限られているのです。
では、絶滅が心配される草花たちのために、私たちができることはあるのでしょうか?
環境が変わるごとに、草花は違う場所に移動しながら生きていきます。でも、人の手が加わることで、移動できなくなることも。自然の中ではどんな風に生きているのか、親子で観察したり調べてみると新たな発見がありますよ。
最近では、絶滅危惧種の種を購入できるプロジェクトもあります。自宅のお庭やプランターで育てることで、少しでも未来に命をつなぐことができます。
地域によっては、絶滅が心配される草花を保護するための活動が行われています。親子でそうした活動に参加してみると、より自然に親しむきっかけになるかもしれません。
「お花が好き!」という気持ちがあれば、それだけで十分です。大切なのは、身近な草花の変化に気づき、「どうすれば守れるかな?」と考えること。
お子さんと一緒に、今日のお散歩で見つけたお花の名前を調べてみるのもいいですね。今ある風景を、未来の子どもたちにも残せるように、親子でできることから始めてみませんか?