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2024年02月07日

いじめの重大事態ってなに?

いじめの重大事態とは

いじめの「重大事態」とは、2013年9月に施行されたいじめ防止対策推進法の中に出てくる言葉で、以下のように定義されています。
・いじめにより当該学校に在籍する児童生徒の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
・いじめにより当該学校に在籍する児童生徒が相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき

前者を「生命等被害」、後者を「不登校」と呼び、いじめによりそれらが発生していると疑われる場合、学校は必ず「重大事態」に該当するか否かを判断し、対処することがいじめ対策推進法では義務付けられています。また、文部科学省が出しているガイドラインでは、不登校重大事態の定義を「欠席日数が年間30日であること」とています。ただし、児童生徒が一定期間、連続して欠席して いるような場合に「上記の目安にかかわらず、迅速に調査に着手することが必要である」と付け加えています。

そもそも「いじめ防止対策推進法」は、滋賀県の大津市でいじめを苦に男子中学生が自殺したことをきっかけに国会で議論となり、制定されました。この法律を基に文部科学省から出されたガイドラインでは、いじめによる「重大事態」が起きたときには、利害関係のない「第三者委員会」を構成し調査することを求めています。

重大事態と認定されたら

いじめの重大事態と認められた場合、学校は以下のように報告する義務があります。

・国立大学法人の附属学校は、当該国立大学法人の学長を経由して文部科学大臣へ報告する・公立学校は当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会を経由して当該地方
公共団体の長へ報告する
・私立学校は当該学校の設置者を経由して当該学校を所轄する都道府県知事へ報告する
・学校設置会社が設置する学校は当該学校設置会社の代表取締役又は代表執行役
を経由して認定地方公共団体の長へ報告する

またいじめ防止対策推進法では、児童生徒や保護者から「いじめられて重大事態に至った」という申し出があった場合、学校がその判断に至っていなくても、重大事態が発生したものとして報告・調査をすることになっています。

いじめの重大事態の発生から調査開始まで
該当学校からの報告を終えると、教育委員会などが主体となりすぐに調査委員会が立ち上げられ、いじめの調査が開始されます。調査委員会には弁護士やスクールカウンセラーなどの専門家が入る場合もあります。まず行われるのは、被害児童生徒と保護者に対する聞き取りと調査方針の説明です。調査の時期や方法、結果の提供などについて説明が行われます。その後、加害児童生徒および保護者に対して調査の説明が行われます。そして、学校から教育委員会などを通じて、文部科学省へ「重大事態調査開始報告書」が提出されます。その後何度も調査が実施され、調査結果を踏まえた対処がなされるとともに、調査結果が公表される流れとなっています。

いじめ重大事態の具体例
これまでに各教育委員会などで「重大事態」として取り扱われた事例をご紹介します。

・軽傷であるものの、自殺を試みた
・リストカットなどの自傷行為
・暴行によって骨折した
・投げ飛ばされて脳震盪を起こした
・殴られて歯が折れた
・カッターなどで切りつけられそうになった
・心的外傷後ストレス障害と診断を受けた
・嘔吐や腹痛などの心因的な身体症状が続いている
・多くの生徒の前でズボンや下着を脱がされた
・わいせつな画像や顔写真を加工した画像を拡散された
・複数の児童生徒から金銭を要求された
・いじめにより欠席が続き、転校や退学をした

などです。

「もしかして」と思ったら

いじめを調査するために、学校では「いじめに関わるアンケート調査」を行ったり、自治体では相談窓口が設けられています。しかしながら、いじめは本人からは相談しづらいものでもあります。そのため、まずは周囲が気付いてあげられるよう、文部科学省は「いじめ発見シート」というものを公開し、いじめの早期発見を呼びかけています。例えば「朝起きられない」「表情が暗かったり、不自然に明るかったりする」「パソコンやスマホをいつも気にしている」「学校の話をしたがらない」などの項目があります。もし少しでもあてはまる項目があったら、お子さんのお話を聞く時間を取り、気持ちを受け入れてあげることが大切です。勇気を出して話し始めてくれたお子さんには、決して「思い過ごしでは?」「あなたにも原因がある」とは口にしないでください。お子さんには安心して過ごせる場所が必要です。どんな自分でも受け入れてくれている、という安心感を与えてあげてほしいと思います。

そして家庭だけで抱え込まず、必ず学校や相談窓口に相談しましょう。全国どこからでも相談できる窓口があります。ぜひご活用ください。

24時間いじめ専用ダイヤル 0570-0-78310

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