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2025年11月15日

樹木の香りを子どもと一緒に味わってみよう

毎日の子育て、少しバタバタしてしまう日もありますよね。朝の支度、仕事、家事、宿題の声かけ……気づけば一日があっという間に過ぎてしまう。そんな中で、子どもと外を歩いていると、「ママ、いい匂いがするね!」というひとことに、「なんの匂いだろう?」と不思議に思うことはありませんか?実はそれ、子どもは「木の香り」を感じています。「え?木なの?」という意外さと、子どもの繊細な感性に驚きますよね。木々の香りを感じる時間は、子どもの五感を育てるだけでなく、親子の心にも優しく寄り添ってくれる時間になるのです。

今回は、自然の少ない都会でも楽しめる「樹木の香り体験」と、その魅力を親子目線でご紹介します。

木の香りがくれる“癒し”と“発見”

木の香りって、どこか懐かしくて落ち着きますよね。

ヒノキのお風呂に入ったときの安心感、森を歩いたときの澄んだ空気――そんな香りには、私たちの心と体をリラックスさせる不思議な力があります。

樹木が出す香りには「フィトンチッド」という成分が含まれています。これは木々が自分を守るために放つ香りで、人の心を穏やかにする効果があるともいわれています。だから、森林浴をすると気持ちがすっきりするのですね。

そして、子どもにとってこの香りは“発見の宝庫”です。「この木はミントみたいな匂い!」「雨のあとはちょっと違うね」と、香りの変化に気づくたび、観察力や表現力が育っていきます。

嗅覚は、五感の中でも記憶と結びつきやすい感覚。木の香りを感じる体験は、季節の記憶や「ママと一緒にいた時間」を、長く心に残してくれるのです。

都会でもできる!木の香りを楽しむ工夫

「自然の香りを感じさせたいけれど、うちのまわりはビルばかりで…」

そんなママも大丈夫。少しの工夫で、都会の中でも木の香りを楽しむことができますよ。

  • 小さな“香りコレクション”を作ってみよう

園芸店や花屋さんで、香りのある植物の小枝を分けてもらいましょう。ユーカリやローズマリー、月桂樹などは扱いやすく、香りがはっきりしています。小瓶やチャック袋に入れて、名前と日付を書いたラベルを貼ると“香りの図鑑”のようになります。お子さんと一緒に「どんな匂いがする?」と話しながら集めると、探検気分で楽しいですよ。

  • ベランダで“香るグリーン”を育ててみませんか

ベランダや室内でも育てられる木は意外と多いのです。例えば、小さなヒノキやレモンの木、ローズマリーなど。朝の水やりのときに「今日もいい香りだね」と声をかければ、親子の会話が自然に生まれます。お世話する喜びとともに、季節を感じられる習慣になりますね。

  • 近くの公園で“香り探し”をしてみよう

大きな森がなくても、公園の木や街路樹にも魅力がたくさんあります。葉っぱをそっと指でこすって香りを嗅いでみたり、雨上がりの地面の匂いを感じてみたり。「今日はどんな匂いがするかな?」と、親子でゲームのように楽しむのもおすすめです。

ちょっとした発見に「すごいね」「よく気づいたね」と声をかけると、子どもの自信もぐんと育ちます。

親子で楽しむ「香りあそび」ワークショップ

香りを“感じる”だけでなく、“遊びながら学ぶ”のもおすすめです。

おうちでできる、簡単で安全な香りあそびをいくつかご紹介しますね。

  • 香りの宝箱を作ろう

透明な小瓶に、小枝や葉っぱ、松ぼっくりなどを入れて「香りの宝箱」を作ります。瓶のふたに小さな穴をあけると、ふんわり香りが漂います。「これはどんな木?」「この匂い、どんな色に見える?」など会話をしながら楽しむと、想像力がぐんと広がります。

  • 香りクイズで盛り上がろう

目隠しして「これは何の匂い?」と当てっこする香りクイズも楽しいですよ。子どもが「甘い匂い」「森っぽい」と感じた言葉を引き出してあげると、語彙力がぐんぐん伸びていきます。香りを感じ取るためには集中力が必要なので、自然と観察力も養われます。

  • 香りを絵で表現してみよう

香りの印象を絵にしてみるのもおすすめです。「ヒノキは空の匂いだから水色」「松の木は茶色であったかい」など、香りを色や形で表すことで、感性が目に見える形になります。香りを通じて、子どもの“感じる力”が豊かになっていきますね。

香り体験が子どもの心を育てる理由

木の香りを通して得られるのは、単なる「いい匂い」ではありません。実は、子どもの成長にとって大切な学びがたくさん詰まっています。

  • 五感の発達をうながす

香りを感じることは、嗅覚だけでなく視覚や触覚も一緒に使う体験です。「見て・触って・嗅ぐ」という動作の積み重ねが、脳の感覚をつなぐ“感覚統合”を助けます。これは、集中力や判断力の土台にもなる力なのですよ。

  • 言葉と想像力が育つ

「甘い」「森みたい」「シャキッとする」など、香りを表現しようとする中で言葉が増えていきます。言葉を探す力は、想像力や表現力を育てる大切なステップです。

  • 心を落ち着かせるリラックス効果

木の香りを嗅ぐと、自然と呼吸が深くなりますね。子どもも同じで、香りを感じながらゆっくり呼吸する時間は“安心のスイッチ”になります。寝る前や疲れた日こそ、親子で香りを嗅ぎながら深呼吸してみてください。きっと心がふんわり落ち着いていきます。

  • 自然への思いやりが育つ

「木にも匂いがあるんだ」「葉っぱが生きてるんだね」という気づきは、自然を大切に思う心を育てます。香りを通じて、命や季節の変化を感じる経験は、人や環境へのやさしさにつながるのですね。

おわりに:香りでつながる“親子の記憶”を育てよう

香りは、時間がたっても心に残る不思議な力を持っています。大人になっても、「あのときの木の香り、ママと一緒に嗅いだな」と思い出すかもしれません。

自然の中でも、街の中でも。親子で少し立ち止まって、「いい匂いだね」と感じるひとときを大切にしてみませんか?木の香りは、今日のあなたとお子さんの心を、やさしく包み込んでくれますよ。

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