子育てやお花、花育、お花の効果などに
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お子さんと一緒にお散歩をしていると、「この花、なんか変わった形しているね」「この葉っぱ、どうして穴が開いているの?」といった会話が生まれることはありませんか?子どもの感性はとても素直で、私たち大人が見過ごしてしまうような“自然の不思議”を見つけてくれますよね。植物の世界には、そんな「ちょっと変わった」姿をしたものがたくさんあります。葉っぱが動いたり、花が動物の顔みたいだったり、石にそっくりだったり——。
一見ユーモラスなその形には、実は生き延びるための“ちゃんとした理由”があるのです。今回は、子どもといっしょに観察して楽しめる「おもしろい形の植物たち」をご紹介します。おうちで育てやすい種類もあるので、親子で小さな“自然実験”を楽しんでみませんか?
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まるで口のような葉がパクッと閉じる、食虫植物の代表です。葉の内側にある細い毛に虫が2回触れると、あっという間に閉じて虫を捕まえます。そのスピードは1秒以内。初めて見るとびっくりしますよね!
虫を捕らえて栄養を補う仕組みは、栄養が乏しい土地に生きるための工夫です。観察するだけで「生きるための知恵ってすごいね」と感じられます。
南アフリカの乾燥地に生える多肉植物で、別名「生きた石」。その名のとおり、見た目はまるで小石のようです。敵に見つからないように周囲の石にそっくりな姿に進化したのだとか。
よく見ると葉の上に“窓”のような部分があり、そこから光を取り入れています。乾燥にも強く、小さな鉢で育てられるので、おうち観察にもぴったりですよ。
「世界一不思議な植物」とも呼ばれます。なんと一生にたった2枚しか葉を出さず、その葉を何百年も伸ばし続けるんです。アフリカ・ナミブ砂漠の過酷な環境でも生き抜く姿は、まさに“生命の奇跡”ですね。
乾燥に負けない強さを持つその姿は、「がんばる植物さん」として子どもにも人気になりそうです。
触ると葉がスッと閉じる「動く植物」。ちょっと触れただけでも反応するので、子どもは夢中になります。葉が閉じるのは、雨や外敵から身を守るため。まるで恥ずかしがり屋さんのようですね。
この動きを観察しながら、「どうして動くの?」「他の植物は動かないの?」と話してみると、自然と理科的な視点が育ちます。
・筒のような葉で虫を誘う「ウツボカズラ」や「サラセニア」
・葉に穴が開いた「モンステラ」——風通しをよくして折れにくくするため
・土がいらない「エアプランツ」——空気中の水分で生きる不思議植物
・乾くと丸まり、水をかけるとまた開く「復活植物」
・花の形が動物の顔に見える「ドラキュラ蘭」や「バットプラント」
「なんでこんな形なんだろう?」と親子で話すだけでも、観察力や想像力が育っていきますね。

植物と触れ合う時間は、単なる“遊び”ではなく、子どもの心と体を豊かに育ててくれる大切な時間です。心理学や教育の分野でも、自然との関わりが発達に良い影響を与えることがわかっています。
自然の中では、目にやさしい緑の色や穏やかな形が、脳をリラックスさせてくれます。
研究でも、自然とふれあう子どもは集中力が回復しやすく、勉強への意欲も高まりやすいといわれています。家庭でも、窓辺に小さな植物を置くだけで“集中のスイッチ”が入りやすくなりますよ。
種をまく、土に触る、水をあげる——。この一つひとつの動作が、指先の発達を促します。葉っぱの質感や花の香りなど、五感を使う体験は感覚統合にも良い影響を与えます。
「触ると動く」「乾くと丸まる」といった変化が見える植物なら、実験感覚で楽しめますね。
植物を育てる時間は、子どもにとっても“心を落ち着ける時間”になります。
水をあげる、葉を拭く、花をながめる——そんな静かな時間が、心のリズムを整えてくれます。実際に、自然とふれあうことでストレスホルモンが減るという研究もあるのですよ。
植物の変化を観察して「どうして?」「なんで?」と考えることは、科学的思考の第一歩です。
親子で「予想→観察→記録」を繰り返すことで、観察力や語彙もどんどん豊かになります。理科が好きになるきっかけにもなりますね。
水やりを忘れるとしおれてしまう。けれど、きちんと世話をすると花が咲く——。
そんな経験を通して、子どもは「自分が関わることで誰か(何か)が元気になる」ことを学びます。植物を育てることは、命の大切さややさしさを育む時間でもあります。

「やってみたいけど、むずかしそう…」という方も大丈夫。おうちで手軽にできる観察方法をご紹介します。
オジギソウ:反応がすぐ見えるので、子どもの関心を引きやすいです。
復活植物:乾いてもまた戻る姿に「わぁ!」と驚きが生まれます。
リトープス:ミニサイズで育てやすく、インテリアにもなります。
ハエトリグサ:虫を捕まえる瞬間を観察できる、人気の理科植物です。
「植物観察ノート」を作り、絵や写真を貼って記録してみましょう。
「今日はどんな変化があったかな?」と話すことで、言葉の力も伸びます。
お世話を“家族の担当制”にするのもおすすめ。子どもの自立心も育ちますよ。
一部の植物にはトゲや毒性があるものもあるので、必ず大人といっしょに扱いましょう。特に小さいお子さんには「口に入れない」ルールをしっかり伝えてください。
また、アレルギーや肌の弱いお子さんの場合は、葉に直接触れないよう注意してくださいね。

おもしろい形の植物は、見るだけでも楽しく、触れることで「なぜ?」「どうして?」という探究心をくすぐってくれます。小さな鉢ひとつでも、そこには観察・発見・感動がつまっていますよ。
お子さんといっしょに「この葉っぱ、なんでこんな形なのかな?」と話してみませんか?
親子の会話が増え、自然と学びの時間が生まれるはずです。そして、そんな時間こそが、子どもの心と知性を育てる“最高の教材”になりますよ。