子育てやお花、花育、お花の効果などに
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親子で季節の移り変わりを楽しむ時間、持てていますか?日々の暮らしや育児に追われていると、つい「気づけば季節が変わっていた!」なんてこともありますよね。親子で自然に触れる時間は、子どもの心を豊かに育ててくれる大切な体験になります。
秋といえば紅葉やおいしい果物狩りも人気ですが、日本には昔から「秋の七草」と呼ばれる草花をめでる風習があります。春の七草が「七草がゆ」で有名なのに対して、秋の七草は「眺めて楽しむ」ものなのですね。
お月見や秋祭りなど、行事ともつながる秋の七草。親子で自然を観察したり、ちょっとした工作をしてみたりすることで、「日本の秋って素敵だね」と子どもに伝えるきっかけになります。
今回は、親子で一緒に楽しめる秋の七草のアイデアをご紹介します。
INDEX
秋の七草は、萩(はぎ)、尾花(おばな=ススキ)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)の7種類です。
奈良時代の歌人・山上憶良が万葉集に詠んだ歌から広まりました。「秋の野に咲く花を数えてみたら、七草があったよ」と歌にしたことから、日本の秋を象徴する植物として親しまれてきたのです。
昔の人は、七草をただ眺めるだけでなく、生活にも取り入れていました。葛は今でもくず粉として和菓子に、藤袴や撫子は香りや染料に使われています。ススキはお月見に飾り、豊作や魔除けを祈る意味もありました。「この草花は昔の人にとっては宝物だったんだよ」と伝えてあげると、ぐっと興味がわきますね。
「見てきれい」「知って面白い」だけでなく、親子で体験するともっと楽しくなります。
中秋の名月にススキを飾ると雰囲気が出ます。子どもが「どうしてススキなの?」と聞いたら、「稲の穂に似ていて、昔の人はお米がいっぱい採れるようにお願いしたんだよ」と話してみましょう。行事と一緒に覚えると印象に残りますね。
近くの公園や河川敷で「七草探しゲーム」をしてみませんか?「どれがススキかな?」「ピンクの花は撫子かな?」とクイズ感覚で探すと、自然観察が楽しい冒険に変わります。
見つけた七草を少しだけ持ち帰り、押し花にしてしおりやカードにしてみましょう。子どもと一緒に「秋の思い出作品」を作れば、家族の季節行事として残していけますね。
秋の七草は、遊びながら学べる絶好の素材です。
ノートに押し花を貼り、名前や日付を書くだけでオリジナル図鑑が完成します。「これはどこで見つけたのかな?」と声をかけると、記憶と体験が結びつきますよ。
ススキをまとめて小さなほうきを作ったり、葛のつるで輪っかを編んだり。昔の子どもたちの遊びを親子で再現してみましょう。「ママも子どもの頃、こうやって遊んだんだよ」と話せば、親子の会話も広がります。
「すすきゆれ/つきにてらされ/かげもゆれ」など、感じたまま五・七・五にすると立派な俳句に。「どんな言葉を入れる?」と聞いてあげると、子どもの発想力も伸びていきますね。
自然の中で遊ぶときには、少しだけ注意も必要です。
花を摘むときは「人の家の庭や保護区域では取らない」「虫やトゲに気をつける」などを教えてあげましょう。特に小さな子はアレルギーやかぶれの心配があるので、触るときは大人が確認してからにすると安心です。
ただ草花を見せるだけでなく、「昔の人はこの花を歌にしたんだよ」「お月見のときにススキを飾るのはこんな意味があるんだよ」と、行事や物語と結びつけて伝えると記憶に残りやすいです。
おじいちゃんおばあちゃんと一緒に散歩しながら秋の草花を教えてもらったり、絵本や童謡にふれてみたりすると、世代を超えて自然の楽しみ方がつながっていきます。
秋の七草は、ただ「花の名前を覚える」だけではなく、親子で季節を楽しむためのきっかけになります。散歩や工作、行事と組み合わせることで、子どもにとって自然がぐっと身近な存在になりますね。
「今日はどんな花が咲いているかな?」と声をかけながら外を歩くだけでも、秋の時間は豊かになります。ちょっとした工夫で、日本の四季と文化を子どもにやさしく伝えてみませんか?